ニューヨークという街は、
彼女にとって大きなクローゼットのようなもの。
好奇心のすべてがそこに詰まっている。
 
仕事はフリーランスのファッションライター。
マンハッタンの若い女性たちの界隈では
わりと知られた存在で、

12センチのピンヒールを履いて、
パワフルに街を駆けまわっている。

目の前にあることは、とにかく試着してみる、というのが
彼女のトレンドセッターとしてのポリシー。
靴も、仕事も、恋愛も。そのおかげで、
たくさんの失敗も経験したし、
ひどい男にも出会ってきた。

けれど、そんな激しく混沌とした生活が、
彼女の感性の豊かさそのもの。

自宅があるウエスト41番通りは、
グランドセントラル駅からすぐ。

ブライアントパークが斜め向かいに見える
アパートメント。

マンハッタンの玄関口でもあるこの場所は
カンザス出身の彼女にとって特別な場所。
ニューヨークに出てきたばかりの頃は、夕食を削って、
駅の売店でVOGUEを買っていたこともある。

夢や野心に、寛容でオープン。
この駅は、彼女とよく似た、空気を纏っている。